緊急対応

Google広告の商標侵害申し立て手順 通る申請書の書き方と却下時の対応

Google広告で自社商標を無断使用された場合の申し立て手順を実務目線で解説。申請対象になるケース、必要書類、フォーム入力、通る通らない事例、却下時の対応まで、広告主のマーケ担当者がそのまま動ける構成にしました。

この記事でわかること

Google 広告で自社の商標が無断使用されていることを発見したとき、申し立てフォームに何を書き、どんな書類を添付すれば通るのか。具体的な書き方が分からず、送信ボタンを押す前に手が止まる担当者は少なくありません。

申し立ては書類の揃え方とフォーム入力の細部で受理率が大きく変わります。同じ被害でも、登録番号や権利者情報の書き方ひとつで「3営業日で広告停止」になることもあれば、「却下→再申請」のループに2か月かかることもあります。

この記事では、Google 広告に商標侵害の申し立てをするマーケ担当者がそのまま動けるよう、次を整理しました。

  • 申し立てできるケースとできないケースの見極め
  • 申請前に揃える必要書類と社内連携の段取り
  • 申請フォームの入力項目を1項目ずつ解説
  • 過去事例から見える通る申請と通らない申請の差
  • 却下されたときの再申請と別ルートの選択肢

Yahoo! 広告への申し立てや、媒体対応で止まらない場合の法的対応の全体像は競合対応フローにまとめています。本記事はその中の Google 広告への申し立て に特化した内容です。

① 申し立てできるケースとできないケース

最初に確認すべきは、自社の被害が Google の商標ポリシーで申し立て対象になるかです。Google 広告の商標ポリシーは「広告文への使用」と「キーワードへの使用」を別の基準で扱います。ここを取り違えると、申請しても受理されません。

申し立てできるケース

Google が原則として申し立てを受理するのは、広告のテキスト本文に自社商標が含まれているケースです。具体的には次のような形態です。

  • 自社ブランド名が広告タイトルに使われている
  • 広告本文に商標が記載され、ユーザーが「公式広告」と誤認するおそれがある
  • 表示URL(広告下部のURL表記)に商標が含まれている

これらはユーザーの誤認を引き起こすため、商標権者からの申し立てで広告停止が認められる可能性が高い類型です。

原則として申し立てが通らないケース

Google 広告は、競合他社が自社商標を「キーワードとして買う」こと自体は認めています(広告文に商標が出ない限り)。次のようなケースは、申し立てしても「ポリシー違反なし」と返ってきます。

  • 自社ブランド名で検索したら競合の広告が出るが、広告文に自社名は含まれていない
  • キーワード入札のみで、広告のクリエイティブには競合自身のブランド名しか出ていない

ただし、広告文に商標が含まれていなくても、表示URLや誘導先LPで誤認を強く誘うケースは別途検討の余地があります。法的にも不正競争防止法上の混同惹起行為(消費者に別の会社と取り違えさせる行為)にあたる可能性があり、媒体対応とは別に弁護士相談ルートが残ります。

例外的に判断が分かれるケース

  • 正規販売店や代理店による出稿:契約関係があれば許諾済みと扱われ、申し立てしても契約関係の証明を求められる
  • 比較広告での商標利用:「A社よりB社が安い」のように広告文へ競合の商標を出す比較広告は、虚偽かどうかに関わらず、原則としてGoogleのポリシーで制限される(広告文に他社商標を含めれば申し立て対象になり得る)
  • 情報提供サイトやレビューサイト:記事内で商標に言及しているだけの広告は、商標権の範囲を超える主張になりがち

申請前にこの分類を済ませておくと、却下されたときの「次の手」を最初から想定できます。

② 申請前に準備する書類

申請フォームを開く前に、次の書類と情報を1か所にまとめておくのが鉄則です。フォーム入力中に書類を探していると、セッションが切れて入力が消える、不揃いな書類で却下される、といった事故が起きます。

必須の書類と情報

項目 内容 入手先
商標登録番号 登録第◯◯◯◯◯◯◯号 特許庁 J-PlatPat
登録商標の指定区分 第◯類(例:第35類 広告業) 商標公報
商標権者の正式名称 法人登記簿のとおりの名称 登記簿謄本
商標権者の所在地と連絡先 登記上の本店所在地 登記簿謄本
申請者と商標権者の関係 本人/法務担当/外部代理人 社内確認
違反広告の表示URL 広告下部に表示される完全なURL 検索画面のスクリーンショット
違反広告のタイトルと本文 一字一句正確に転記 スクリーンショット
検索したキーワード 何で検索したらその広告が出たか 申請者の操作記録
撮影日時と地域とデバイス 証拠の再現性を担保 撮影時のメモ

商標登録番号は、特許庁の J-PlatPat で社名や商標名で検索すれば確認できます。Googleの商標申し立ては商標権者からの申請が前提で、登録商標があることが基本です。未登録の商標は受理されにくいため、頻繁に被害が出ているブランドは早めの商標登録が現実解です。

代理人として申請する場合の追加書類

外部の代理人(広告代理店やツール提供会社など)が申請する場合は、商標権者からの委任状が追加で求められます。委任状は次の要素を含めると差し戻されにくくなります。

  • 商標権者の正式名称と代表者印
  • 受任者の名称
  • 委任の範囲(Google 広告ポリシー違反の申告全般)
  • 有効期限(おおむね1年が一般的)

社内連携で詰まりやすいポイント

申請までに法務部門や知財部門の確認を求められる企業が多いはずです。申請内容の文面と添付書類を、事前に法務側のテンプレートでレビューしてもらう段取りを最初に組んでおくと、申請当日の差し戻しを防げます。

被害発見から申請完了までを3営業日以内に収めたいなら、書類のセットを「社内回覧不要のテンプレート」に落としておくのが効きます。

③ 申請フォームの入力手順

書類が揃ったら、Google 広告ヘルプの商標に関する申し立てフォームから申請します。フォームの構成は更新されることがあるため、最新の項目名は実際の画面で確認しつつ、概ね次の流れで進みます。

Step 1: 申請者の立場を選択

最初に、申請者が「商標権者本人」か「権利者から委任を受けた代理人」かを選びます。代理人を選ぶと、委任状の添付フィールドが追加で表示されます。

Step 2: 商標権者情報の入力

法人名・所在地・連絡先メールアドレスを入力します。法人ドメインのメールアドレスを使うことが受理率を上げるポイントです。フリーメール(gmail.com など)で申請すると、本人確認の追加照会が入りやすくなり、処理が止まります。

Step 3: 商標情報の入力

  • 商標の表記(カタカナ・英字・ロゴなど、登録されているとおり)
  • 登録国(日本)
  • 登録番号
  • 指定区分

複数の商標が侵害されている場合は、商標ごとに1件ずつ申請するのが原則です。1つの申請に複数商標を詰め込むと、Google 側で処理が分割されて時間がかかります。

Step 4: 違反広告の特定

ここが申請の肝です。違反広告について次を入力します。

  • 検索キーワード
  • 表示URL(広告下部のドメイン表記)
  • 広告タイトル(一字一句正確に)
  • 広告説明文
  • 広告主の名称(表示されていれば)

1つの広告主が複数の広告クリエイティブを出している場合は、それぞれ別の入力欄として追加します。同一広告主の複数クリエイティブをまとめて申請するほうが、Google 側の処理単位が明確になり、停止が漏れません。

Step 5: 違反内容の説明

自由記述欄に、次の3点を簡潔に書きます。

  • どの広告のどの部分が商標権を侵害しているか
  • 申請者(自社)が当該商標の正当な権利者であること
  • 当該広告主に商標使用の許諾を与えていないこと

例文の型は次のとおりです。

当社(◯◯株式会社)は、商標「◯◯」(登録第◯◯◯◯◯◯◯号、第35類)の正当な権利者です。本申告の対象広告は、当社の許諾なく当該商標を広告本文に使用しており、ユーザーに公式広告と誤認させるおそれがあります。広告の即時停止を求めます。

文面は淡々と事実のみにします。感情的な表現や被害金額の主張は商標ポリシー違反の判定と別軸の話なので、ここでは省きます。

Step 6: 添付資料のアップロード

商標登録証の写し、委任状(代理人申請の場合)、違反広告のスクリーンショットを PDF または PNG で添付します。ファイルの容量上限に注意し、超える場合は分割や圧縮で対応します。

Step 7: 確認と送信

入力内容を最終確認して送信します。送信後、自動受付メールが届きます。このメール内の Case ID(受付番号) は、後の問い合わせや再申請で必須になるため、社内の管理シートに記録しておきます。

④ 通る申請と通らない申請の差

過去の実務で見えてきた、申請結果を分ける4つのパターンです。

通る申請の特徴

  • 商標登録番号と指定区分が明記されている:J-PlatPat の検索画面のスクリーンショットを添付すると、Google 側の照合が早まる
  • 違反広告のスクリーンショットが、検索画面とLPの両方で揃っている:誤認の度合いが立証しやすい
  • 同一広告主の複数クリエイティブをまとめて申請している:処理単位が明確で、停止漏れがない
  • 法人ドメインのメールアドレスから送られている:本人確認の追加照会が省略される

通らない申請の典型

  • 商標登録のない商標で、周知性の立証資料が不足している
  • 違反内容の説明が抽象的で、広告の特定が弱い(「うちのブランドを勝手に使っている」だけで終わっている)
  • スクリーンショットが広告のみで、検索キーワードが映っていない
  • 同一申請に複数商標を詰め込んでいて、処理単位が不明確
  • 申請者がフリーメールで送り、本人確認に応答していない

受理率が下がる小さな落とし穴

  • 広告タイトルの全角・半角の表記揺れ:実際の広告と一字でも違うと「該当広告が見つかりません」で返ってくる
  • 表示URLの一部省略:「example.com」ではなく「ad.example.co.jp/promo」まで正確に
  • スクリーンショットの撮影日時が古い:申請時点ですでに広告が止まっていると「現在は違反なし」で却下される

申請後のおおまかな流れ

Googleは処理期間を公表していないため、以下はあくまで実務上の目安です。

  • 自動受付・本人確認・初期審査
  • 商標部門による審査と広告主への通知
  • 広告停止または再修正の指示

全体で数日から数週間かかることがあります。被害が継続していてしばらく進展がなければ、Case ID を添えて状況照会を入れます。

⑤ 却下されたときの対応

申請が却下されることは珍しくありません。却下メールには理由コードまたは簡潔な理由が記載されるので、まずそれを読み解きます。

却下理由別の再申請ルート

却下理由 対応
商標権の立証が不十分 登録証の写しと指定区分の証拠を追加して再申請
該当広告が確認できない 撮影日時の新しいスクリーンショットと検索条件を添えて再申請
ポリシー違反に該当しない 広告文に商標が含まれていない場合は、別ルート(法的対応)を検討
委任関係の証明が不足 委任状の有効期限と委任範囲を見直して再提出
申請者の本人確認失敗 法人ドメインのメールに切り替えて再申請

再申請で外せない3つの工夫

  1. 元の Case ID を冒頭に明記:「Case ID ◯◯の再申請」とすることで、Google 側で履歴がつながる
  2. 却下理由への対応を1行で要約:「ご指摘の◯◯について、追加資料として◯◯を添付しました」と明示する
  3. 新しいスクリーンショットを必ず追加:日付が古いと「現在の状態」と判断されない

媒体対応で止まらない場合の選択肢

複数回申請しても停止しない、もしくは停止後に同一広告主が形を変えて再出稿してくる場合は、媒体対応ではなく法的対応のルートに切り替えます。

  • 内容証明郵便での警告:弁護士名義で警告書を送付。費用は事務所により幅がありますが、5〜15万円程度が一つの目安
  • 広告掲載差止めの仮処分:裁判所に申し立て、数週間〜1か月で停止命令を得るルート
  • 損害賠償請求:過去分の被害について商標法38条の損害額算定の特則を活用

各選択肢の費用感と判断基準は競合対応フローに整理しています。

再発を前提にした運用に切り替える

申し立て1件で被害が止まっても、別の業者が同じ手口で再開するのが商標領域の特性です。被害発見から申請までを人手で繰り返し続けるより、検知の自動化に切り替えるほうが費用に見合います。

具体的な費用感は内製と外注のコスト試算、稟議書の通し方は稟議書テンプレートにまとめています。

まとめ

  • 申し立て可否は「広告文に商標が含まれているか」で大きく分かれる。キーワード入札のみの場合は媒体対応が通りにくく、別ルートを検討する
  • 申請前に商標登録番号・スクリーンショット・委任状(代理人の場合)を揃え、申請当日の差し戻しを防ぐ
  • フォーム入力は法人ドメインのメール・正確な表記・1広告主ごとの申請の3点で受理率が上がる
  • 却下されたらCase ID を明記して再申請。同一広告主の再出稿が続くなら法的対応に切り替える

被害を見つけてから申請、社内合意、別添資料の準備までを人手で回すと、1件あたり数時間〜半日の工数がかかります。AdChecker は Google 広告の不正出稿を全国47都道府県・24時間で自動検知し、申し立てにそのまま使える広告本文・表示URL・スクリーンショット・撮影日時を1件1ファイルで出力します。社内向けの被害額試算もあわせてご案内します。

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