ASP別の不正出稿対応を徹底比較 A8・バリューコマース・afb・JANetの違いと広告主の動き方
主要ASP4社(A8.net・バリューコマース・afb・JANet)の自社商標への不正出稿に対する規約・対応速度・ペナルティの違いと、広告主が違反を見つけたときに取るべき動き方を整理。ASP選定と実務対応の判断軸を5000字超で解説します。
この記事でわかること
「自社ブランド名でアフィリエイターが勝手に広告を出している」。広告主のマーケ担当者が、こうした不正出稿を発見した瞬間に対応の窓口になるのが提携ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)です。
ところがASPによって、規約の書きぶり・違反発見時の動きの速さ・違反者に対するペナルティの強さは大きく違います。同じ案件でも、あるASPでは数日で止まる一方、別のASPでは2週間止まらない、ということが普通に起きます。
この記事では、主要ASP4社について次の観点を整理しました。
- 自社商標の無断出稿に関する規約条文の有無と書きぶり
- 違反発見から出稿停止までの対応速度
- 違反者に課されるペナルティの違い
- ASPを横断して動かすために、広告主が取るべき対応
- 監視を仕組み化するときの注意点
ASP選定・乗り換え・複数ASP併用の判断材料として使える内容です。具体的な数値・条文は各社の公式サイトで最新版を必ず確認してください。本記事は実務担当者のヒアリングと各社公開情報をもとにした概観です。
① ASPごとの規約比較
主要4社の規約は、商標キーワードへのリスティング広告出稿について、いずれも禁止または制限を設けています。ただし表現の強さと適用範囲が違います。
A8.net(株式会社ファンコミュニケーションズ)
国内最大手のA8.netは、リスティング広告でのアフィリエイト出稿について、広告主側で個別に許可・不許可を設定する仕組みを採用しています。広告主が「リスティング広告を許可しない」とプログラム設定をすると、それに反する出稿は規約違反として扱われます。商標キーワードの取り扱いも同じ枠組みで、広告主が禁止キーワードリストを登録できます。
バリューコマース
バリューコマースも同様に、広告主側がリスティング広告の可否と禁止キーワードを設定する方式です。広告主の管理画面から、禁止キーワードの一覧を更新できます。違反通報の窓口はサポート経由で、広告主からの申告に対応する形です。
afb(株式会社フォーイット)
afbは、提携アフィリエイターに対してガイドラインで違反行為の類型を列挙しているのが特徴です。リスティング広告での商標キーワード無断使用、なりすまし、虚偽表記などが該当します。違反内容により提携解除や報酬没収まで踏み込む条項を持ちます。
JANet(株式会社ADWAYS DEEE)
JANetも、広告主側がプログラム設定でリスティング広告の可否と禁止キーワードを指定する形式です。違反発見時の通報フローは、管理画面と問い合わせ窓口の両方で受け付けています。
4社の規約比較表
| 項目 | A8.net | バリューコマース | afb | JANet |
|---|---|---|---|---|
| 商標キーワードの禁止設定 | 広告主が個別設定 | 広告主が個別設定 | ガイドラインで明示 | 広告主が個別設定 |
| リスティング広告の可否 | 広告主が設定 | 広告主が設定 | 広告主が設定 | 広告主が設定 |
| 違反時の提携解除条項 | △ | △ | ○ | △ |
| 違反時の報酬没収条項 | △ | △ | ○ | △ |
評価は概観で、最新の条文は各社公式の規約・ガイドラインで確認してください。「△」は公式の規約文に明示記載なし、または条件付き記載を示します。
ASPの規約は広告主側の設定で完成する設計が多く、規約だけ見て選ぶより、設定運用と通報窓口の使いやすさで見るのが実務的です。
② 違反発見時の対応速度
次に重要なのが、違反を発見してから出稿が止まるまでの実時間です。規約が同じ強度でも、現場の処理スピードは事業者ごとに差があります。
通報チャネルの違い
主要4社は、いずれも広告主向けの通報窓口を持っています。ただし窓口の種類が違います。
- 管理画面の専用フォーム:違反該当のレポートと証拠スクリーンショットをアップロードする形式
- メールでの問い合わせ:担当者がメールで状況確認しながら対応する形式
- 電話・チャット:緊急性が高い案件で利用できる窓口
専用フォームが整備されている事業者は、受理から確認までが速い傾向です。メール窓口は柔軟な相談ができる反面、初動の確認往復で1〜2営業日が消えることがあります。
速い対応を引き出す通報の書き方
ASPは1日に多くの通報を受けています。窓口担当者が見て判断に迷わない通報は、後回しにされません。
- 違反該当の広告URL・広告文・検索キーワード・地域を具体的に書く
- スクリーンショットを日時と地域が分かる形で添付する
- 自社のプログラムIDと、違反者として疑わしいアフィリエイターIDが分かれば併記
- 「自社の商標キーワードである」「アフィリエイターに許諾していない」を一文で明記
「広告主からの通報」は通常、ASPの中でも優先処理の対象です。書きぶりが整っているほど、エスカレーションが速くなります。
媒体への申し立てと並行で動かす
ASPの対応を待つ間も、被害は累積します。ASP通報と並行して、Google・Yahoo! の商標申し立てを進めるのが定石です。両方を同時に動かすと、どちらかが先に効いて出稿が止まります。
媒体側の申し立て手順は競合に自社名で広告を出されたらに詳しくまとめました。
③ ペナルティの違い
違反者に対するペナルティの強さは、ASPごとに方針が異なります。同じ違反でも、報酬没収まで踏み込むASPと、警告で止まるASPがあります。
報酬の取り扱い
違反期間中に発生した成果報酬の扱いは、全額没収・一部没収・没収なしの3パターンに分かれます。
- 全額没収:違反行為の全期間の報酬を支払わない処分。明示条項を持つASPで採用されやすい
- 一部没収:違反該当の経路で発生した報酬のみを没収する処分
- 没収なし:警告・提携解除のみで報酬は支払われる処分
広告主にとっては、没収された報酬が広告主に返金されるかも論点です。ASPによっては、没収分が広告主に戻る場合と、ASPの内部処理で完結する場合があります。返金条件は契約書または個別の覚書に明記されていることが多いため、契約締結時に確認しておくのが安全です。
提携解除の運用
提携解除は、違反者の今後の参加を止める処分です。ただし同一事業者が別アカウントで再参加するケースが存在するため、ASP側の本人確認の厳しさが効きます。
- 法人登記・身分証明の確認を必須にしているASP
- メールアドレスだけで参加できるASP
- 過去の違反履歴を本人確認情報と紐づけているASP
本人確認が厳しいASPほど、提携解除後の再発防止が機能します。広告主の立場では、違反者の参加要件もASP選定の判断材料です。
ペナルティ比較表
| 項目 | A8.net | バリューコマース | afb | JANet |
|---|---|---|---|---|
| 報酬没収条項の明示 | △ | △ | ○ | △ |
| 提携解除条項の明示 | △ | △ | ○ | △ |
| 違反者の本人確認の厳しさ | 公式に明示記載なし | 公式に明示記載なし | 公式に明示記載なし | 公式に明示記載なし |
ペナルティの強さは規約文だけでは判断できません。実際に過去案件でどう運用されたかを、契約前のヒアリングで確認するのが現実的です。
④ 広告主が取るべき対応
ASPごとに違いがあるとはいえ、広告主側でやるべきことはほぼ共通です。仕組みを整えておけば、どのASP相手でも同じスピードで動けます。
プログラム設定の徹底
最初にやるのは、自社プログラムの設定で禁止キーワードと禁止行為を明示することです。次の項目は必ず登録します。
- 自社ブランド名・サービス名・商品名(表記ゆれ含む)
- 略称・タイポバリエーション
- リスティング広告での該当キーワード利用の可否
- 禁止LP(自社の正規LP以外への誘導禁止 等)
複数ASPに参加している場合は、同じ禁止キーワードリストを全ASPで揃えることが大事です。1社だけ抜けていると、そこから不正出稿が流れ込みます。
通報テンプレートの準備
違反を見つけたとき、通報メール・通報フォームに何を書くかをテンプレート化します。前章の「速い対応を引き出す通報の書き方」を雛形にすると、担当者が変わっても通報の質が落ちません。
違反者IDの社内蓄積
ASP経由で違反が止まっても、別のASPで同じ事業者が出稿してくることがあります。違反者の事業者名・登記情報・違反履歴を社内で蓄積しておくと、次の検知時に「同一犯」と特定して各ASPへ通報できます。
法的対応への切り替え基準
ASP・媒体への通報で止まらない場合や、被害額が大きい場合は、警告書・訴訟・仮処分の法的対応に切り替えます。判断基準と手順は競合に自社名で広告を出されたらどうするを参照してください。
⑤ 監視のコツ
ASPと媒体それぞれの通報窓口を使えるようになっても、違反の発見が遅れれば対応も遅れます。検知の仕組みが、被害額を決定づける一番の要素です。
監視範囲を広く取る
不正出稿は地域・時間帯・デバイスを変えて出されます。全国47都道府県・24時間・PCとスマートフォンを網羅しないと、検知漏れが残ります。
- 地域:東京・大阪だけだと地方限定の出稿を見逃す
- 時間帯:営業時間外に出稿し、朝には消える広告がある
- デバイス:スマートフォンだけで出稿される広告がある
人手のチェックでは対応する範囲を確保できないため、自動化が前提です。ツールの選定軸は商標監視ツール比較6選にまとめました。
証拠スクリーンショットの自動保全
検知できても、証拠を残せなければASPも媒体も動きません。検知時点で広告のスクリーンショットを自動で保全する仕組みが、通報スピードを左右します。
- 検索結果ページ全体
- 広告本文と表示URL
- 遷移先LP
- 取得日時・地域・デバイスのメタ情報
これらが自動で揃う状態を作ると、違反発見から通報までの時間が数時間以内に短縮できます。
ASPアカウントと監視の連動
検知した違反者が自社の提携アフィリエイターか、外部の第三者かで対応窓口が変わります。監視結果とASPアカウントを紐づけて確認できる運用にすると、通報先の判断が即座にできます。
内製と外注の費用試算
監視を社内で続けるか、ツール・外注に切り替えるかは、対象キーワード数と対応する範囲で決まります。同等の対応する範囲を社内で確保すると、人件費換算で大きなコストになることが普通です。費用試算の考え方は内製と外注のコスト試算を参照してください。
まとめ
- 主要ASP4社は、いずれも商標キーワードの不正出稿を禁止しているが、規約の書きぶり・対応速度・ペナルティの強さで違いがある
- 広告主側でやるべきは、プログラム設定の徹底・通報テンプレートの準備・違反者IDの社内蓄積の3点。これが揃えばどのASPでも同じスピードで動ける
- ASPへの通報とGoogle・Yahoo! の商標申し立ては並行で動かす。どちらか先に効いたほうで出稿が止まる
- 検知の遅れは被害額に直結する。監視範囲・証拠スクリーンショットの自動保全・ASPと監視の連動を仕組み化する
AdChecker は、全国47都道府県・24時間・PCとスマートフォンで自動巡回し、検知時にはASP通報・媒体申し立てのどちらにもそのまま使える証拠スクリーンショットを自動で保全します。複数ASPに参加している広告主向けに、ASP横断の違反者管理も可能です。御社の参加ASPと指名検索の状況をお知らせいただければ、状況に合わせた監視範囲のご提案をします。
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